2025年度の税制改正大綱が決定、不動産投資への影響は?

自民・公明の両党は20日、税制改正の基本方針を示す2025年度の「税制改正大綱」を発表した。

「年収103万円の壁」問題をめぐる所得税の基礎控除等の見直しが注目される中、不動産関連では、老朽化した分譲マンションの解体や全面改修時にかかる税金の非課税措置などが盛り込まれた。

今回の税制改正のポイントについて、大家さん専門の「Knees bee税理士法人」副所長・大野晃男税理士に聞いた。

不動産投資家に関連する改正内容

今回発表された税制改正大綱の中から、不動産投資家に影響がありそうな項目をピックアップする。

 

老朽化マンション対策

区分所有者が集まる分譲マンションの老朽化対策の一環で、解体後の敷地の売却などにかかる法人税や事業所税を非課税にする方針が示された。

区分所有者が集まって作るマンション除去組合(仮称)、マンション再生組合(仮称)、マンション等売却組合(仮称)などを対象に、これらの組合を公益法人とみなして、収益事業以外による所得にかかる税金を非課税にするというもの。

大野税理士によると、公益法人とみなされることで、宗教法人や学校法人と同じような扱いとなり、収益事業にかかる所得のみが課税される。

「マンション建て替え等の円滑化に関する法律」の改正を前提としており、区分マンションの所有者に具体的にどのような影響が出るかは、今後の法改正が注目される。

 

青色申告制度の見直し

不動産所得のある個人や法人が利用できる所得税の「青色申告制度」についての見直し方針が示された。

現在の制度では、控除額によって記帳方式の基準が分かれており、控除額が10万円の場合は、収入と支出だけを記入する簡易簿記が認められている。簡易簿記は、貸借対照表を作る必要がなく、複式簿記に比べて記帳の負担が少ない。

税制改正大綱では、「複式簿記による記帳をさらに普及・一般化させるため、納税者側での事務負担や対応可能性を十分踏まえつつ、所得税の青色申告制度の見直しを含めた個人事業主の記帳水準の向上等に向けた検討を行う」との文言が盛り込まれた。

大野税理士によると、大綱の文言からだけでは具体的にどのような見直しが行われるのかまでは読み取れない。

「控除額が10万円の人にも複式簿記を求める可能性や、青色申告者の特典を増やす可能性が考えられる。青色申告制度の見直しはこれまであまり耳にしたことがなかったので、今後の動向を注視したい」(大野税理士)

 

国民健康保険の負担上限引き上げ

そのほか専業大家さんに関係する項目として、大野税理士は国民健康保険税の引き上げを挙げる。会社員ではない個人が支払う国民健康保険の負担上限は毎年引き上げが行われているが、来年も引き上げが行われる。

大野税理士は「医療分、介護分、後期高齢者支援分を合わせた年間の支払額は現状106万円が上限だが、3万円上がり109万円となる。所得の高い人は上限が上がることで影響が出る可能性がある」と話した。

今回の税制改正では、最大の焦点となっていた「103万円の壁」をめぐって所得税の控除額を20万円引き上げ123万円とする方針が示された。

また、税優遇を受けられる個人型確定拠出年金「iDeCo」の掛金上限引き上げなども盛り込まれた。

 

投資家を含む個人にとって税の負担軽減になる政策がある一方で、税負担が増える可能性のある改正もある。税の優遇措置を受けられる制度は積極的に活用し、「手取り」をいかに増やしていくかは個人で工夫する必要がありそうだ。

 

楽待新聞編集部より引用  小林

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