国交省、24年半ばに空き家対策の施策パッケージ

国土交通省は1日、社会資本整備審議会産業分科会不動産部会(部会長:中城康彦明海大学不動産学部長)の会合を開いた。今回は不動産分野におけるDXおよび空き家対策の推進に向けた取り組みについて、現状説明と意見交換を行なった。

DXの促進に関連して、宅地建物取引業法に基づく行政手続きについて同法に位置付けられたアナログ規制の見直し等を説明。従来は行政庁などの閲覧所でのみ可能だった宅地建物取引業者名簿等の記載事項や業者票の掲示事項の一般閲覧については、デジタルで可能にする。それに合わせ、プライバシー保護とのバランスを踏まえて閲覧対象の文書を見直し、専任の宅建士の氏名や役員等の住所・電話番号情報などについては閲覧対象から除外することを決めた。この見直しは2024年6月までに実施し、25年度をめどにスタートする計画。

また、宅地建物取引業免許申請等についても、順次オンライン化を進めていく。従来は、同省の地方整備局や都道府県といった免許行政庁に必要書類等を郵送・持参することが必要だったが、24年度から順次電子申請を可能にしていく。オンライン申請の開始は大臣免許が24年5月25日から、都道府県知事免許は24年度下期以降に開始予定としている。

さらに、取引のオンライン化についても、宅建事業者と消費者を対象とした独自のアンケート結果を公表。IT重説や書面電子化の導入・実施に向けて求めるサポートを聞いたところ、オンライン取引の導入や実施方法に関するマニュアルが55%で最多となり、「オンライン取引の規定やルールの説明を目的とした研修」が46%などといった回答の割合が高く、「サポート有無に関係なくIT重説や書面電子化の導入は実施・検討しない」とした回答は10%となった。

これらに対して出席委員からは、「免許申請をオンライン化した場合、まだ行政庁によっては申請手数料納付のオンライン化ができていないケースもあるので国交省の支援が必要では」「消費者がオンラインでの取引を希望した場合に対応できないことで商機を逸するのはもったいない。対応できる事業者を増やしていくべき」などといった声が挙がった。

空き家対策については、12月13日に施行予定の「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(改正空家対策特措法)の概要を説明し、各種調査データをもとに空き家の現状を分析。空き家流通の主要な担い手である不動産業における課題として「手間と報酬のアンバランス」「人材の育成・確保」を挙げた。特に人材育成については、この10年間では22府県で知事免許の宅建業者が減少していることから、地域において空き家を含めた宅地建物流通の円滑化の観点から担い手の育成、スキル向上が必要とした。

その上で、改正空家対策特措法によって第三者に空き家管理を委託する需要が高まると見込み、実際のトラブル事例や、空き家管理の特性を踏まえ、空き家を管理する不動産事業者向けのガイドラインを今年度中に策定する。さらに、不動産業による空き家業務への参入を促進するため、相談対応から管理・利活用・流通まで、官民一体となって強化することが重要だとして、施策パッケージ「不動産業による空き家対策推進プログラム(仮称)」を24年半ばに策定。取り組みの具体化も図り実行していくことを明らかにした。

出席委員からは、「空き家問題の相談窓口は宅建事業者になる。積極的な人材育成が必要だ」「空き家管理が宅建事業者のビジネスチャンスにつながるような支援が必要だろう」などといったコメントが寄せられた。

不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイトR.E.port より転載

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